会長挨拶

第15回日本創傷外科学会総会・学術集会
会長 多久嶋 亮彦
(杏林大学医学部形成外科学教室 教授)

この度、第15回日本創傷外科学会総会・学術集会を2023年7月13日(木)・14日(金)の2日間にわたり、コングレスクエア日本橋にて開催させていただきます。2020年に始まったCOVID-19のパンデミックはあらゆる社会状況を一変させました。医学学術集会においても、現地開催が当然であったものが、Web配信などを組み合わせたハイブリッド方式が多く行われるようになってきました。現地での開催は、講演や発表時以外の時間に、face to faceでディスカッションを行うことができるといった利点があり、Webでの学会は意味が無いのではないかといった意見もありました。しかし、一方で、現地開催のみでは業務の関係上、病院を離れることができずに聞きたい発表も聞けなかったものが、Web配信されることによってきちんと情報収集をできるようになったことも事実です。このようにして学術集会そのものが進化、発展していくのだと思います。主催させて頂く第15回日本創傷外科学会総会・学術集会も、来年の7月には移動が自由になる可能性が高いことが予想されますが、このようなメリットから、ハイブリッド方式で開催を考えています。

本学術集会のテーマは、「創を見て体を診る」といたしました。大きな外傷、難治性潰瘍に対する形成外科医としてのアプローチは、患者自身が安心して人生を送ることができるようにする手助けであるべきです。そのためには、呼吸器内科が呼吸器を通じて全身を診るように、循環器内科が循環器を通じて全身を診るように、われわれ形成外科も創を見て全身を把握し、それに応じた治療ができるようにすべきだと思います。形成外科医が基本診療科として生き残っていくためには、この視点が重要と考え、「創を見て体を診る」といたしました。

本学会は2008年に設立され、翌2009年の1月に第1回日本創傷外科学会総会・学術集会が杏林大学医学部形成外科学教室の当時主任教授であった波利井清紀先生が主催されました。その当時から今に至るまで、このように大きく成長した学会を再び杏林大学形成外科学教室が主催させて頂くことは本当に光栄なことです。教室員一同、コロナ対策を万全とし鋭意学会の企画運営にあたる所存ですので、皆様方の参加を心からお待ちしております。